分銅について

分銅はどのような場面で使用されていると思いますか? 学生のとき、理科の実験で上皿天秤を使用してある物の質量を測定する際に分銅を用いた経験がある方もいるかと思いますが、分銅は主に天秤・はかりの校正や点検等に用いられることが多く、質量測定の標準・基準となるものです。

 

分銅の国内規格として、「JIS B 7609 分銅」というものがありJISの中で等級、公称値、最大許容誤差、形状等が定められております。等級は最大許容誤差によって、E1級、E2級、F1級、F2級、M1級、M1-2級、M2級、M2-3級及びM3級に区分されており、もっとも精度が高く最大許容誤差が小さいのがE1級となります。公称値は1 mgから5 000 kgで1×10n kg、2×10n kg、5×10n kg(nは正もしくは負の整数又は0)の分銅と定められております。また、分銅の協定質量の拡張不確かさは、各等級で規定されている最大許容誤差の1/3以下とされており、例えばF2級の200 g分銅の場合、最大許容誤差は±3.0 mgのため拡張不確かさは1.0 mg以下となります。JIS規格の精度等級に適合しているかの判定は、公称値からの偏差とこの拡張不確かさを加味して行われるため、分銅の校正には拡張不確かさが付記されている“JCSS校正”がおすすめとなります。

 

※協定質量:OIML D28(空気中の計量結果の協定値)に従って定められた空気中での質量測定の結果についての取決めによる値、すなわち、20 ℃の温度で1.2 kg/m3の密度の空気中において被校正分銅と釣合う密度が8 000 kg/m3の参照分銅の質量。

 

これらの分銅を使用・管理する上での注意すべき点としては、まずは分銅を素手で触らないことです。分銅に手の油脂や汗の塩分が付着して錆び等による質量変化の原因になるため、専用の用具や手袋を使用して下さい。また天秤・はかりで使用する際は、計量皿の上で分銅を滑らせたりすると分銅の底面がすり減る原因になるため位置を変える場合は必ず持ち上げて行い、慎重に取り扱うようにして下さい。保管する時も埃等の付着は質量増加の原因となるので、ケース等に入れて保管場所にも注意が必要です。 天秤・はかりの校正や点検に分銅を用いる場合には、空気浮力の影響も考慮しなければなりません。天秤の表示値には、重力とは逆向きの空気浮力の影響を受けているので、分銅の密度や空気密度から影響度を考えることも必要になります。

 

分銅を外部校正機関に依頼する場合、公称値の大きい分銅(20 kgや10 kg等)の輸送に苦慮されていませんか? 複数個を保有している場合は、分銅の梱包も大変ですし、重量物となるので輸送経費も高くなってしまいます。そんなお客様におすすめなのが分銅の巡回校正(出張校正)です。JEMICでは分銅の巡回校正(出張校正)も行っておりますので、一度お問い合わせください。

 

(2024.1 K)

 

 

ページトップへ移動