2023年10月のテクニカルコラムで掲載しました変流器と共に使用する機器に計器用変圧器というものがあります。
計器用変圧器はVT(Voltage Transformer)ともいい、回路に印加される高電圧を扱い易い大きさの電圧に変換する機器であり、変電所や工場施設等で利用されている高電圧の測定などに用いられています。
一般に、計器用変圧器を使用する場合は、計器用変圧器の一次側に測定したい電圧、二次側に変換された扱い易い大きさの電圧が測定できるように回路を構成します。
JIS C 1731-1:1998計器用変成器-(標準用及び一般計器用)第2部:計器用変圧器では、商用周波数範囲において定格一次電圧は154kVから0.11kV、定格二次電圧(扱い易い大きさの電圧)は110V、110/√3Vと定められ、確度階級として0.1級及び0.2級を標準用、0.5級、1.0級、3.0級を一般計測用と呼称しています。
計器用変圧器の性能を示すものに比誤差(%)、位相角(分)があります。
比誤差とは、真の変圧比(測定で得られた一次側電圧と二次側電圧との比)が定格変圧比(定格一次電圧と定格二次電圧との比)に等しくないことから生じる誤差のことで、次式で表されます。
ε= KnUs-Up Up ×100
ε: 比誤差 (%)
Kn:定格変圧比
Up:真の一次電圧(V)
Us:Upを印加したときの真の二次電圧(V)
位相角とは、一次電圧ベクトルと二次電圧ベクトルとの間の位相差をいいます。二次電圧ベクトルが進む場合の位相角を正とし、分(1度の1/60)で表します。
JEMICにおいては、計器用変圧器の比誤差(%)及び位相角(分)の校正を実施しております。JCSSロゴマーク付の校正証明書を発行することも可能ですので、計器用変圧器の校正をご検討される際は、是非一度、お問い合わせください。
(2024.5 S)
実施場所注1 |
校正条件 |
電流 (定格一次電流) |
拡張不確かさ注2 (信頼の水準約95 %) |
本社 |
周波数 50 Hz、60 Hz 二次負担 100 VA ~ 0.1 VA 以下 二次負担力率 1 |
550/√3kV 以下 100 V 以上 |
比誤差 0.005 % 位相角 0.3 分 |
中部支社 |
周波数 50 Hz、60 Hz 二次負担 100 VA~0 VA 二次負担力率 1 |
220/√3kV 以下 110 V以上 |
比誤差 0.02 % 位相角 0.6 分 |
関西支社 |
周波数 50 Hz、60 Hz 二次負担 50 VA ~ 0 VA 二次負担力率 1 |
275/√3kV 以下 110 V以上 |
比誤差 0.01 % 位相角 0.4 分 |
九州支社 |
周波数 50 Hz、60 Hz 二次負担 100 VA ~ 0 VA 二次負担力率 1 |
220/√3kV 以下 110 V 以上 |
比誤差 0.01 %~0.6 %注3 位相角 0.5分~6分 (3.0級については 不記載) |
注1:本社、中部支社、関西支社はJCSS校正、九州支社は一般校正
注2:拡張不確かさは、校正範囲で一番小さなものを記載しています。
注3:九州支社は、校正精度で校正証明書を発行
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