再生可能エネルギーと直流電流測定について

現在、世界的に問題となっている気候変動(地球温暖化)という環境問題に対して、世界各国で様々な対策が講じられています。 

その代表的なものの1つとして再生可能エネルギーを積極的に活用し温室効果ガスの排出を抑制したり、またそれらの発電設備を電力網に対して系統連系するといった施策があります。代表的な再生可能エネルギーとして、太陽光発電や風力発電がありますが、従来の火力発電や水力発電が「交流」で発電されるのに対して、これらは「直流」で発電されることが多いです。

そのため、これら施策の発展、普及に伴い計測業界においては、比較的大きな直流電流の校正ニーズが増加傾向にあります。

直流電流の測定には、従来から分流器が使用されてきました。分流器は、抵抗体(マンガニン板等)を使用した構造であることから、測定される電流によるジュール熱の発生が不可避であり、この発熱による温度上昇からわずかながら抵抗値が変化します。そのため高精度な電流測定を行うには、それぞれの分流器が持つ自己加熱特性(温度飽和までの時間)などの影響を考慮する必要がありました。

しかしながら、近年では、電流センサ/直流変流器などの普及により、比較的容易に高精度・高確度な測定が可能になっています。また、電力測定や解析等に用いられるパワーメータ/アナライザ等の測定器と組み合わせて使用することも可能であることから、研究開発/製造現場など様々な場面において、幅広く使用されております。

 

直流大電流

測定器物 形状と電流測定原理 帯域幅 温度特性 電流特性 経年変化 特徴
分流器 抵抗体の電圧降下
(オームの法則)

・電流回路への直接挿入による負荷増加
・交流/直流差
・抵抗値の安定までの時間把握
・温度係数による抵抗値の変化
・駆動電源が不要なため、電源ラインの無い場所でも設置可能
・構造がシンプルで安価

電流センサ 変流器形の磁気検出

・貫通穴入力による接続の負担軽減
・出力信号 電流/電圧 選択可能
・交流/直流両用
・優れた諸特性による測定時間の短縮
・貫通穴サイズにより、導線径に制約有
・駆動電源が必要なため、電源ラインの確保が必要

JEMICにおきましては、大電流測定が可能な電流センサ、分流器、クランプメータ等、様々な計測器に対応した校正を行っております。また、国際規格ISO/IEC 17025認定のJCSS校正にも対応可能ですので、ご希望の際は、是非一度、JEMICへお問い合わせください。

 

(2024.08 Y)

 

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