最近、様々な場面でデジタル化という単語を耳にすることが増えたと思います。校正サービスにおいても同様にデジタル化が話題となっており、報告書類である校正証明書について対応を推進する流れとなっております。
デジタル校正証明書とは、読んで字のごとく、校正証明書をデジタル化したものを指し、英語表記で「Digital Calibration Certificates」であることから「DCC」とも呼ばれています。デジタル校正証明書の様式には、ドイツ国立物理工学研究所(PTB)が提案し中心となって進めているXML形式やスイス連邦計量認定局(METAS)が提案しているPDFファイルへのデータ添付形式などがあります。
日本では、国家計量標準を保有する国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJ)が、2022年11月よりデジタル校正証明書の発行を順次始めました。現在、NMIJが発行しているデジタル校正証明書は、PDFファイルへのデータ添付形式であり、参考情報としてXML、CSVなどの形式で校正情報が添付されたものとなっています。セキュリティ面においては、第三者認証がなされた電子署名により、改ざん・捏造防止や発行元の証明がなされています。
計量法校正事業者登録制度 (JCSS)においては、独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)が発行する公開文書「JCSS登録及び認定の一般要求事項」がデジタル校正証明書に対応できるよう2022年5月に改訂されています。なお、「ISO/IEC 17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)」においては、2017年度の改訂時にすでに校正証明書を含む技術的記録についてデジタル化を含むものとなっています。 JCSS制度においては、デジタル校正証明書を発行している登録・認定事業者はまだ少数ですが、2021年5月に経済産業省が取りまとめた「知的基盤整備計画」において校正証明書のデジタル化を推し進めていくための環境整備が明記され、積極的に取り組んでいることから年々増加傾向にあると思われます。
ユーザーの要望としまして、当所のアンケートの結果ではデジタル校正証明書を要望されるお客様の割合は低い状況です(2024年9月本稿掲載時点)。しかし、ヨーロッパにおいて自動車や製薬等の多くの分野で、校正証明書に対する管理がデジタル化されていることから、大手企業からデジタル校正証明書の対応可否についての問い合わせが増加傾向にあり、今後、日本においてもデジタル校正証明書のニーズが広がっていくことが想定されます。JEMICにおいても、デジタル校正証明書の発行に向けて鋭意準備を進めております。
今後の新着ニュースを楽しみにしておいて下さい。
(2024.9 N)
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