金属材料(抵抗体)は外力を加えて伸縮させると、一定の範囲内でその抵抗値も変化します。このとき、元の形状からの伸縮量の割合を「ひずみ」と呼び、ひずみ計測は、自動車・鉄道・航空機などの製品開発において、強度や安全性を確保するための重要な要素となっています。
ひずみの測定には、ひずみゲージとひずみ測定器(電圧比測定装置)を用いて行うことが一般的です。ひずみゲージ(電気抵抗式)は、抵抗変化によってひずみを測定するセンサであり、ひずみ測定器(電圧比測定装置)はひずみゲージからの電気抵抗の変化量を測定する装置となります。
実際のひずみの測定は、強度を知りたい材料にひずみゲージを取り付け、材料が変形するときに加わった力に応じた電気信号を、ひずみ測定器、データロガー、レコーダなどで測定することにより知ることができます。ただし、ひずみは絶対量ではなく比率を表しているので、単位はなく一般的にST(ひずみ:strain/ストレインを省略したもの)やSと表現します。
ひずみ測定器(電圧比測定装置)はウィートストンブリッジ回路の構成となっており、等価回路を図1に示します。ひずみの値と出力電圧の関係性が決まっていれば、その出力と入力の電圧比(mV/V)を測定することにより、ひずみの値(物体の変形量)を知ることができ、その情報をもとに材料の強度や耐久性を評価することが可能となります。ひずみ測定器(電圧比測定装置)は、図1の4つの抵抗Rのうちの1か所をひずみゲージに置き換えたものであり、ひずみがなく4つの抵抗がすべて同じ値であれば、出力電圧EOUTはゼロとなります。
ひずみゲージにひずみを加えて、抵抗値に変化を与えると ウィートストンブリッジ回路のバランスが崩れ、 出力電圧EOUTに電圧が生じるので、印可電圧EINとの 電圧比からひずみの値を求めることができます。 例えば、1 mV/Vの出力電圧が発生する時のひずみを 2 000×10-6 = 2 000 µS(マイクロストレイン)とします。 出力電圧が半分の場合は、0.5 mV/V = 1 000 µS 出力電圧が2倍の場合は、2 mV/V = 4 000 µSとなります。 JEMICでは、電気計測の技術を応用して、正確に電圧比を測定する ことによりひずみ測定器及びひずみ発生器のJCSS校正を実現しています。
そこで、任意の低抵抗を精度よく測定(校正)する一つの方法として、4端子法を応用した方法があります。それは、抵抗に電流を通電して発生した電圧降下をケルビン・バーレー回路を活用して分圧し、ディジタルマルチメータ(抵抗レンジ)の電圧端子側に接続します。これにより入力電圧を可変することで疑似的にディジタルマルチメータに低抵抗を表示させることが可能となり、オームの法則から任意の抵抗値の測定(校正)が可能になります。
JEMICでは、様々な計測器に対応した校正を行っております。
また、国際規格ISO/IEC 17025認定のJCSS校正にも対応可能ですので、ご希望の際は、是非一度、JEMICへお問い合わせください。
(2024.12 W)
計測器の校正業務
校正サービス